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大規模な組織(再)デザインに進む前に:
組織間の連携(リンケージ)を使用した効率的な組織デザイン

2020.07.13

こちらのブログはHRBPの設置や、各種人事施策の強化を通じて戦略人事を実現されたいという方のために「戦略人事の考え方」や「HRBPは作ってみたが何をすればいいのか?」といったお悩み、疑問・質問にお答えしていくものです。

組織構造と組織デザイン すべての組織には、定められた個別の役割と公式のレポートラインを含むフォーマルな組織構造があります。しかし、紙の上に表現されたその階層別のフォーマル組織構造は、見た目は良いものの、現実的には、すべての組織は組織間・階層間の見えない関係、つまりインフォーマルなコミュニケーションプロセスを持つことで組織運営を行っているのです。組織のさまざまな部分の間のこれらの境界を越えたインターフェースは、組織間の連携(リンケージ)ないしは協働促進関係と呼ばれます。 組織内の個人と部門がフォーマルな関係以外にもインフォーマルな関係を通じて連携するためのメカニズムです。
組織デザインをする場合、フォーマルな部門間、階層間の境界線を引いて組織をデザインするところまでは誰もができるかもしれません。ただし、実はどこの組織にでもあるインフォーマルな連携(リンケージ)を無視し、組織のフォーマルなレポートラインと役割分担のみ着目した組織デザインに終始してしまった場合、実際の意思決定を行ったり、経営資源を配分したり優先順位をつけて行動をおこすための調整したりすることが困難になる場合があります。

たとえば、営業マネージャーが追加の営業担当者を必要としているとしましょう。ほとんどの大企業では、人事(HR)部門がすべての新入社員の雇用を担当しています。営業と人事という縦割り組織をかたくなに守る「官僚型組織」では、人を欲しがっている営業マネージャーの役割は限定的で、最終面接に出てきて採用の可否を判断する以外には、ほとんど登場しません。
しかし、顧客価値を提供することのできる最高の営業担当者を採用しようとする営業マネージャーは、組織の別の部分(この場合はHR)を信頼して、最高の営業担当者を雇うための一連の採用活動をともに推進する必要があります。そのためには、人事部側も営業マネージャーとの連携(リンケージ)を確立して、採用すべき人物のプロファイルを定義し、、採用プロセスを調整(一次面接では誰がどのようなことをアピールするのか、どのような質問をして判断するのか等)し、面接日程をを整理し、最終的に優秀な候補者の獲得確率を上げなくてはなりません。このような連携(リンケージ)がより効果的、かつ有効になればなるほど、タレントに関する意思決定が適切になり、営業マネージャーはより高い成果を挙げることができるようになるのです。もちろん、ほとんどの人事または人材獲得チームはこれらの連携(リンケージ)を確立していますが、実際には人事と部門の連携が不十分であったり連携の仕方があまりに属人的であり、スムーズな連携を実現していたAという担当者が異動になったとたんに、非効率かつ効果の出ない採用活動になってしまうというケースは多くあるのです。なおかつ献身的に営業マネージャーの採用活動をサポートした人事部のスタッフは、その活動が“インフォーマル”であるがゆえに、せっかく成果を挙げても公式に評価されることがないというような事態も発生してしまいます。

リンケージデザインの3ステップ 上記の例に限らず、フォーマル・インフォーマルの連携(リンケージ)の存在を確かめ、組織デザインに反映するようにリーダーに促すことは、すべての組織デザインの重要な項目です。

このプロセスは次の3つのステップで構成されます。

1.組織内で公式なレポートラインでは表されていないが、リーダー同士や社員同士が必要に応じて連携しており、公式な協業関係を構築することで、より高い成果が出せる可能性のある最重要な領域を特定します。
2.それらの非公式な連携(リンケージ)を公式なものとするために、どのような手法を取ることができるか検討します。
3.実際に連携(リンケージ)を導入し、モニタリングを通じて必要に応じて再調整します。

それぞれの組織はユニークで、どれ一つとして同じものはありません。フォーマル(組織図の上の人を表す箱、レポートライン、公式の役割など)またはインフォーマルな構造(連携(リンケージ)、意思決定権など)を開発するための万能のデザインテンプレートはありません。事業に関する情報や経営資源の共有の仕方がかなりシンプルまたは暫定的な場合、リンケージを組織化したりコーディネートしたりする必要性があまりないため、リンケージはインフォーマルのままにすることができます。一方で重要なビジネス上の意思決定を行う必要がある場合、より多くの情報または分析が必要な場合、徹底的な優先順位付けアプローチを使用して経営資源を割り当てる必要がある場合、または組織間の情報が必要な場合など、より複雑な状況では、インフォーマルなリンケージをフォーマルなリンケージに変えて、上記のプロセスを効率化する必要があります。

ある会社のIT部門の事例 例としてある会社のIT部門の例を挙げてみましょう。 この会社では役員から従業員に至るまで、誰もが常にITに不満を感じているようです。問題が発生したときにエンジニアがすぐに来ない理由を理解していません。エンジニアが現れても、問題を修正するのに時間がかかりすぎ、しかもIT部門の費用が高すぎる。現在進行中のプロジェクトに時間がかかりすぎて、現場から寄せられる苦情のリストが続きます。

このような場合、IT部門のタスクに優先順位を付けるプロセスを確立することが必要になります。ビジネス上の優先事項が何であり、そしてどこに投資をするのか(またはしないのか)について決定を下す必要があります。また、社員がいつ、どのくらい迅速にITからのサポートを受ける事を期待できるかについてのサービスレベルアグリーメントも必要です。このような絡み合った事柄を、IT部門のスタッフやエンジニアが個人でインフォーマルに個別対応することは現実的ではありませんし、何より非効率です。

そこで、これらの要求を扱うために連携する場、例えば「IT評議会」を公式に設置し、その評議会にはユーザー側の責任者も参加させてITの優先順位設定の問題を取り上げます。 IT投資の要求をレビューし、ビジネスのニーズに基づいて優先順位を付けるのです。IT担当者を含む多くの意見を評議会で聞くことができ、関係者全員が理解して受け入れる決定を下すことができ、納得感がはるかに向上するのです。これにより、人々の不満が減り、IT担当者があらゆる状況で悪者扱いされることは無くなります。ITの投資案件が多すぎる場合は、たとえば「営業・マーケティングIT評議会」というように売上やシェア向上に寄与するIT投資を扱う評議会を作り、そこには営業本部長、マーケティング本部長も参加させ、それ以外は「本社スタッフ部門・工場関係IT評議会」等を別に立ち上げて、人事システム導入、経費精算システムのアップグレードなどはそこで協議をすることもできます。

連携(リンケージ)の重要性 小規模でそれほど複雑ではない組織では、日常業務の中での連携(リンケージ)が容易なケースが多くあります。しかし、巨大な部門と多国籍オフィスを持つ大企業では、特定のタスクの専門知識を持つ人がどこにいるのかや、情報や決定のためにどこの誰に最初に話をもって行って支持を取り付けてくるのか等の知識・経験が非常に属人的かつ非効率であることが多いため、このようなインフォーマルな連携(リンケージ)をフォーマルにして組織デザインに取り込み、より効率的に運営できる組織をデザインすることは必要不可欠です。時間をかけて(連携)リンケージを計画することにより、フォーマル・インフォーマル構造を絶えず調整して会社の属人的で非効率な活動に割くリソースとエネルギーの浪費を回避することができます。


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