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第四回:戦略人事はウチにはまだ早い、は本当か?
HRBPが持つべき4つの視点

2020.09.25

こちらのブログはHRBPの設置や、各種人事施策の強化を通じて戦略人事を実現されたいという方のために「戦略人事の考え方」や「HRBPは作ってみたが何をすればいいのか?」といったお悩み、疑問・質問にお答えしていくものです。

HRBPは人事の専門用語ではなく、ビジネスの共通言語を! ここまでにゾーン1と2においてHRBPがどのような視点を持って活動をすれば良いのかを見てきましたが、今回ご紹介するゾーン3およびゾーン4では難易度が一気に上がります。

これまでは過去から現在までという時価軸の中で起きた事象を扱ってきましたので、言い換えれば確定している事実を扱ってきたことになります。業績(パフォーマンス)が良かったのか悪かったのかも既に確定していますので明らかです。
しかし、今回および次回で扱うゾーン3及び4は現在から未来の話、つまりまだ事実が確定していない事象を扱いますし、不確定な未来の話をしながらも利害関係者に影響力を及ぼしてビジネスに貢献するという思考・行動が求められるのです。
ここで強調したいのは、ゾーン3と4で身に着けるべきは人事の専門用語よりもビジネスの共通言語を!ということです。HRBPとしてサポートするべきビジネスリーダーは常に不確定な未来と向き合いながら、仮説を立てて打ち手を繰り出し、成功と共に失敗からの学習を重ねていくというタフな状況に直面しています。そのようなリーダーから信頼を獲得し、頼られる存在になるためには人事の専門家というパーソナルブランドよりも、ビジネスにどうにかこうにか貢献しようと一緒に歯を食いしばるプロフェッショナルブランドの方がはるかにビジネスリーダーからは魅力的です。
ちなみに、HRBPや戦略人事という用語も徐々に浸透・拡大をはじめ、各種のトレーニングも出てきたのですが、いまだに「人事の経験者」が「人事の専門用語」を教えているトレーニングが大多数です。もちろん知らなくてはならないものもありますので、全てを否定するものではありませんが、『ビジネスリーダー、経営陣から信頼を得るにはどうすればよいか?』という問いには到底応えられるものではありません。ビジネスに貢献したい、信頼を得たいのであれば少しでもビジネスの共通言語を学ぶ方が、圧倒的に効果があるでしょう。
しかし、ビジネスの共通言語といっても、いまからMBAを取りに行ったり、コンサルティング会社に転職したりというのも非現実的です。獲得したいのはビジネスの詳細を理解することではなくて、リーダーと必要な会話を行い、信頼を得るための共通言語ですから、あまり詳細にこだわらず「これだけ知っておけばだいたい大丈夫」というところを目指すほうが得策です。
今回はそのような観点から5F+PESTELというフレームワークをご紹介していきます。

改めてゾーン3の概要を確認しておきましょう。
ゾーン3ではHRBPである皆さんの立ち位置は現在(図の真ん中)であり、業績は「いまのところ」は順調です。しかし将来にわたって、現在順調である業績が順調であり続ける保証はどこにもありません。ですので、将来を先読みして予防策を打っておくということがHRBPに求められる思考・行動になります。そして未来のことは誰にもわかりませんが、「これだけおさえておけばだいたい大丈夫=ビジネスリーダーとの会話が成り立つ」ために役立つのが5F+PESTELというフレームワークです。ビジネススクールを卒業した方は既にご存知かと思いますが、1年次の戦略思考等の講座では必ず押さえておくべきフレームワークですね。

PESTELとは自社を含む業界を取り巻くマクロ環境の重要要素をおさえるためのフレームワークで、P=Political=政治・政策等の動向、E=Economic=経済・消費者等の動向、というように各要素の頭文字になります。 マクロ環境の中には「業界」があり、この業界の利益率を左右する5つの力(5-Forces)にはバイヤーの交渉力、新規参入の脅威や代替品の脅威などがあります。 事業部のトップはこれらの要素を見ながら事業戦略仮説をつくっていきます。この5FとPESTELをおさえて、日々のニュースや業界誌に目を通しておくだけでも、「ちょっと今までの人事とは違うな・・・」という印象を持ってもらうには十分です。

ビジネスの共通言語からWIIFMとインパクトマップへ:HRBPの役割 さて、5F+PESTELによってビジネスリーダー達との共通言語・視点を持ったところで、次にHRBPとして付加価値を出していくところまで進みましょう。5F+PESTELをおさえるのは重要ではありますが、これだけでは「理屈っぽいヤツ」とも捉え兼ねられません。せっかく信頼を得るための一歩を踏み出したのですから、「できるHRBP」に徐々に近づいていきましょう。そのために御紹介する考え方とツール『WIIFM』と『インパクトマップ』です。
WIIFMは“What’s In It For Me?”の頭文字で、「だから何なの?」、「それが私にとって何の意味があるのか?」という質問です。問題解決プロセスの言い方で言えば5F+PESTELで情報収集をした後の、分析と意味合いの抽出ですね。

縦軸に5F+PESTELから見出した「今後起きそうなこと」を書出し、横軸には社内の部署を書き出します。「今後起きそうなこと」が「社内のどの部署に影響を及ぼすのか」のいわゆる「どこどこ分析」を行い、その影響度合いをH(高い)~L(低い)で示していきます。(もちろん5段階評価でも10段階評価でも構いません)
今後予測される変化によって影響を受ける部署の数やインパクトの大きさなどの観点から事業部リーダーと予防策について協議をしていくことになります。
何の枠組みもないまま、「今後おきうるリスクについて話しましょう」などと持ち掛けても相手にされることはありませんし、何かおきてから「だからうちの人間は目先の事ばかり考えて・・・」などと言っても、将来の予防策を考えるための枠組みを提供できていないのはHRBPにも原因があるので、本末転倒です。
今回も2-3のフレームワークを使うだけで、ビジネスリーダーとの会話がスムーズになるコツをご紹介してきました。次回はいよいよ、リーダー達とビジョンを実現していくためのHRBPの活動について触れていきます。


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