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“影響力”を使いこなす:マスターすべき3つの観点

2021.06.02

影響力(Influence)とは、リーダーが成果を挙げるために必ず備えていなければならない必須のスキルです。リーダーは孤軍奮闘する存在ではなく、他者に効果的に影響力を行使することで、他者の行動や意思決定、持っている意見、または思考(見方・考え方)に働きかけて、組織・集団としての成果を出していきます。

影響力の源には様々なものがあります。例えば、自分の役職やコンプライアンス等の規制によって人々を従わせるものです。つまり、強制力をもって、「他人にとってほしい行動を取らせる」のです。しかし、予測不可能な出来事や困難を乗り越えるためにはリーダー一人だけの力では不可能であり、チーム、そして組織の力を最大限に引き出し、前進するために強力なコミットメントが必要になります。

今日の変化の時代では課長や部長といった役職にとらわれることなく、例え職務権限がなくとも周囲の人と効果的に協力し合うことが必要とされます。効果的に協力し合うためには論理的で説得力のある議論の展開や、ギブアンドテイクをバランス良く実践する能力が必要です。またリーダーとしての経験をある程度積んでくると、影響力を行使する目的の重点は長期的な目標の設定と実行、組織全体を刺激し、あるべき方向へ向かせる事、そして組織全体にわたって人々のモチベーションを高め、目標達成のための行動を取ってもらう事に重点が置かれます。

影響力を使いこなすために:3つの観点 私たちの長年にわたる膨大なリサーチの結果、効果的に影響力を発揮しているリーダーは論理的アプローチ、感情的アプローチ、そして協力的アプローチの3つに分類されることがわかりました。私たちはこれらを論理的な働きかけ、心理的な働きかけ、そして協調的な働きかけと呼びます。

論理的な働きかけ:人々が持つ合理的かつ知的な情報処理の仕方を活用します。組織の目的は何か、依頼されたことを理解し、期待される行動を取ることによって得られる個人的な利益は何か、またはその両方に基づいて相手にとって最善の行動を選択するための議論を提示して訴えかけます。

心理的な働きかけ:『論理だけでは人は動かない』、その通りです。2つ目のアプローチはより人間的・心理的なものになります。皆さんの発するメッセージ、目標、またはプロジェクトを、それらを受け取る側の個々人の目標や価値観に結び付けます。相手はどのようなものを幸福と感じるのか、自分の業務範囲を超えて組織に貢献したいと思っている献身感の溢れる人に訴えかけるにはどのようなメッセージが適切か、人々の感情や価値観を考慮したアプローチをとることで、より強固なコミットメントを引き出していきます。

協力的な働きかけ:先の2つはリーダーがある程度、やりたいこと、あるべき姿を持ったうえで、協力が必要な相手に働きかけるアプローチに見えるかもしれません。一方で、そもそも何をすべきか、一緒に何ができるかというコラボレーションを構想する段階から相手を巻き込み、相談することを通じて、他者のアイディアを理解し、より強固なパートナーシップを構築していく方法もあります。相互に重要な目標を達成するために協力することは、組織内の他の人々と互いに手を差し伸べ、影響力を行使する非常に効果的な方法です。

影響力のあるリーダーとはこれらの3つのアプローチを駆使して、組織内のポジションに関わらず成果を挙げ続けているのです。

使うべき影響力の選択 それでは、3つの働きかけ方(影響力の行使の仕方)のうち、どれを選択すればよいのでしょうか?最適なアプローチを選ぶためには以下のポイントを検討することが重要です。

状況を評価する:皆さんに、あるチャレンジングな業務が与えられたとしましょう。その業務は他者の協力なしにはできそうもありません。しかし、なぜその業務が皆さんに与えられたのでしょうか?協力を仰ぐべき人がいるとして、なぜその人のサポートが必要なのでしょうか?その人に影響を与えることによって、どのような結果を得ようとしているのでしょうか?意外と忘れられがちなのですが、誰に影響を与える必要があり、何を達成したいのかを明確にしておくことは非常に重要な最初の一歩です。

利害関係者(Stakeholder)と聴衆(Audience)知る:誰が利害関係者なのかを特定して理解します。利害関係者それぞれに特別な関心事(ポジティブ・ネガティブの両方)、利害関係者が持つ独自のアジェンダ、視点、優先順位もあります。さまざまなグループや個人が影響を与えるために異なるアプローチを必要とします。個人の個性、目標、目的、および組織の役割と責任を考慮して、特定の人に影響を与える戦略を確認し、立案します。

自分自身の経験値を確認する:皆さんがこれまでに影響力を行使した場面を思い出してみてください。どのような働きかけをしていたでしょうか?うまくいった場合、いかなかった場合はありますか?自信の持てる「勝ちパターン」はあるでしょうか?今、目の前にある状況において新たに試すことのできる新しい働きかけ方はありますか?自分ひとりで考えるだけではなく、他の人からもアドバイスやコーチングをもらってみてください。たとえば、常に論理的なアプローチを使っている場合は、気心の知れた同僚に手伝ってもらって、心理的な働きかけ、協調的な働きかけを試すためのプランを相談してみるのも良いでしょう。

やる前に試す:ある程度、働きかけ方のイメージがついてきたら、“一人ロールプレイ”をやってみましょう。論理的に働きかける場合、相手はどのような反応を示してくるでしょうか?同意してくれるでしょうか、それとも意見が対立してしまうでしょうか?その場合、論理的に働きかけるのを続けるのか、心理的な要素に働きかけるのか、協調的な働きかけに切り替えていくのか、全体のストーリーはどうなるでしょうか?それぞれの働きかけの中で、具体的に何を言うことができ、何をすることができますか?相手の反応を予測し、こちらもどのように反応するのかを計画します。

最初は、リスクの低い状況で自分にとって新しい影響力の行使の仕方を試し、1対1で練習することをお勧めします。『影響力を高めるための4つのキーポイント』に焦点を当てて、スキル向上を継続してみましょう。影響力を行使する場面の幅が広がり、経験を積むにつれて、1対1だけではなくチームや大規模なグループに影響を与え、よりリスクの高い状況で他の人を説得する能力に自信が持てるようになります。

しかし、成功体験を積んでくると、どうしてもその成功体験にとらわれることも忘れないでください。 影響力を行使する場面は、一つ一つ固有のものです。使うべき影響力を選択するために考慮すべきポイントにいつも立ち戻り、行使すべき影響力を正しく選択することを忘れないようにしましょう。

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