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「組織開発の探求:25年以上の歴史と真髄」
AlignOrg Solutions
プリンシパル リード・デシュラーさん

2020.06.23

デジタルトランスフォーメーション(DX)をはじめ、これからの世界を生き抜いていくため、様々な組織開発の手法が提唱されています。しかし組織開発は業績を上げるものでなければ意味がありません。業績に直結するのは、その企業の競争優位性であり、なおかつ日々の活動が変わらなければ出せる結果も変わらないのです。本当に取り組むべき組織デザインとは何か?25年以上に渡り、組織デザインを手掛けてきた専門家に話を聞きます。

◆リード・デシュラーさんの略歴◆
米コンサルティング会社「AlignOrg Solutions」のプリンシパルで、Mastering the Cube(日本語版『最強の戦略人事』)の共著者であり、Fortune100社をはじめ、米国のさまざまな中堅企業、非営利団体の組織デザインを手掛けてきました。『イノベーションのジレンマ』で有名なハーバードビジネススクールの(故)クレイトン・Mクリステンセン氏からも、その実力は認められています。

ボランティア活動から組織デザインの専門家へ

この組織デザインという仕事を始めたきっかけを教えて下さい。

何年も前になりますが、私がまだ大学にいた頃、私は数年間日本に住んでいたことがあります。 私は日本でボランティア活動もしていたのですが、そのボランティア活動の一環として非常に大きな変革(チェンジマネジメント)を経験することになったのです。 当時の私は大規模な変革やチェンジマネジメント、それを実現する組織のデザイン手法などの専門分野があることを全く理解していませんでした。しかし、その変革の活動が自分自身にとって魅力的であり、力を注ぐことができ、そして心から楽しんでいることは分かっていました。私はリーダーと協力してトレーニングをするのが好きで、さまざまな結果を得るためにどのように組織をデザインし運営していくのかを理解するのが好きでした。

日本での大学生活とボランティアの仕事を終えて母国の大学に戻り、専攻科目を選ぶときには迷うことなく、自分が真にやりがいを感じる事、つまり変化を乗り越え、結果を出せる組織のデザインを自分の専門分野として選びました。この時から変化への対応、大規模なチェンジマネジメントという分野に専念しており、今でも私は組織のデザインと変革の分野を専門としています。

課題を解決へと導く

この仕事の一番のやりがいや大変なことは何ですか。

多くの場合、挑戦的で満足のいく経験には共通点があります。企業は、競争、革新、効果的なマネジメントなどの本当に難しい戦略的課題を解決しなくてはなりません。時にはシンプルな「正解」に辿り着くこともありますが、 ほとんどの場合、競争や変革、マネジメントといった厳しい戦略的課題には独創的で思慮深い答えを必要とします。だからこそ、私はCXOや経営幹部との仕事をとても楽しんでいます。 経営幹部が経営の難題に取り組み、それを解決する方法についての深い洞察を得ることを支援することは、困難であるだけでなく、やりがいがあります。

私は何年も前に、ある消費財関係の会社の販売チャネルの1つをより強化するための組織デザインを支援したことがあります。経営陣との組織デザインセッションの1つで、私は組織デザインの方法論で使用する核となるツールを紹介しました。ツールの説明をしてから経営陣にはいくつかのグループに分かれてもらい、そのツールをそれぞれのグループで使って組織デザインのプロセスを進めるように依頼すると、幹部の1人が私に近づいてきて「私があなたに何を求めているのか、このツールがどのように役立つのかまだ分かっていません。けれど、今は私はあなたの言う『組織デザインのプロセス』を信じて、まずはあなたの言う『強力なツール』を使ってみることにします。」と言ったのです。 彼女のこの発言は私を緊張させるのに十分なものであり、数時間のグループワークが終わってから、再び彼女が私の元に来て「リード、今は私には私たちのビジネスが全く違って見えています。 あなたが言ったツールを使ったグループワークをやってみて、戦略の実行を確実にするために変えることができるいくつかの本当にワクワクする方法を見つけたと思います。」と言ってきたのです。これは本当に素晴らしい経験でした。

競争優位性への差別化戦略

未来の展望についてはいかがでしょうか。

これからの企業にはアラインメントを取る能力、そしてアラインメント・リーダーが必要とされています。より複雑な世界では、企業は将来の競争環境の複雑性と変化のスピードがますます高まる中で、企業は生き残り、成長するために戦略・組織・人をアラインさせる(整合性を取って同じ方向に向ける)ための能力が必要とされているのです。過去には、優れた機能やデザインをもった製品、主要市場へのアクセス、または高い効率性を誇るサプライチェーンなどで競争優位性を作ることができたかもしれません。しかし、今日では皆さんの競合企業にも優れた製品があり、同じ市場へのアクセスがあり、ダイナミックなサプライチェーンがあります。そのため、企業が差異化を行って他社と一線を画し、市場をリードすることがさらに難しくなっています。

このような環境では企業は下記に上げるようなリスクをとって前に進む必要があります。

• 戦略的リスク 新しい市場を探し出し、新規参入に打って出る意欲、そして市場での自社の差異化を実現する新しい方法を見つけること
• 組織的リスク 自社の組織と他の組織と区別するための組織能力に投資すること
• アラインメントリスク 組織が変化に適応し、より柔軟に運用できるように組織の構造を変革する際のアラインメント(整合性)を取ること(新たな組織運営方法を模索し、試してみること等)

従来の日本文化では「出る杭は打たれる」ということわざがありましたが、今、そして将来のビジネスでは真に勝つ組織とは、『立ちあがって違うことをやろうとする組織』です。私たちの組織デザインコンサルティングでは、その原理原則の1つが『差異化』です。組織を差異化し、その他大勢に埋もれてしまわないために必要なリスクを喜んで引き受けるリーダーが必要です。

これは、将来の組織にとっていくつかの重要な義務を意味します。

1.リーダーは、差異化のための戦略を構築できるスキルを習得する必要があります。
2.リーダーは、その戦略を実行し、結果を出すために組織の重要な側面の整合性を取るデザイン技法を学ぶ必要があります(戦略実行のための組織の重要な側面とは業務プロセス、構造とガバナンス、情報と指標、人財と報酬、継続的な改善、およびリーダシップと企業文化を意味します)。
3.リーダーは自らが組織デザインのための能力を持つだけではなく、組織にいる誰もが戦略と組織、人材の間に生じる不整合を見出し、認識し、ツール/フレームワーク/方法を習得して、新しい戦略や市場の状況に適合するように組織をリデザインする能力を持てるようにする必要があります。

組織デザインの能力は、現在米国で最も需要の高いスキルセットの1つです。米国中のリーダーたちは、体系立てられたデザイン手法によって作られた組織が適応力と競争力の源泉になることを知っているので、自らも学びつつ、組織の中にいる従業員も組織デザインの技法を身に着けてほしいと願っています。組織内の一部のリーダーだけではなく、誰もがこの技法を身に着けることで、変化の時代にあっても組織の最先端にいる人たちがそれをより良く、より速く、そしてより効果的に使いこなすことで競合他社を抜き去ることができると考えているのです。

これからのリーダーに求められるもの

日本企業のリーダーたちへのメッセージをお願いします。

これからのリーダーは、カリスマリーダーと言った従来型のリーダーではなく、戦略・組織・人といった複雑な要素の整合性を取り、結果を出していける“アラインメント・リーダー”になるために努力する必要があります。それぞれの危機(危機の“危”と機会の“機”)を見て、組織に変化をもたらし、優れた結果を生み出すことができる自律的なリーダーになることが求められているのです。




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